目の前に
特別な人が現れることはとても幸せなことだけれど、そのたびに、
私にはまた穴が増えるんだと思った。
…特別な人って、自分の頃の中にその人のための場所がある、
みたいな感じなの。
その場所は大きかったり小さかったりして、
暖かく満たされり冷たくなったり、穴があいたりするんだけど、
どんなに大きな穴があいたりしても、
その穴をその他のもので満たすことはできないんだ。
穴は穴のまま存在し続けて、私は穴だらけになる。
…穴だらけになることが怖いと思うこともあった。
そういう時の方が多かった。
どうせ残るなら小さな、浅い穴のほうが救い様があると。
でも、ある時に、その穴が私を広げて深めてくれるんだと思えた。
私は穴だらけなんだけど、でもその穴の分、大きく深くなれているんじゃないかと。
…土のことを思い出した。
肥沃な、豊かな土って、ミミズとかモグラとかが行き来して土に穴や隙間が出来て、みっちりした感じじゃなくてふかふかしてるんだよね。
穴も隙間も無くみっちり詰まった土よりも、穴や隙間だらけで、でもその間に空気を含めるような土の上では、植物が良く育つのだと。
人間も同じような感じなのかも。
穴だらけで隙間だらけの人間のほうが、その間に空気を含むことが出来て、そこでは生き物がよく育つんじゃないかなって。

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